7月11日 本校大講義室において、生徒の知的好奇心を喚起し、科学的素養を育てるための学識者講演会が行われました。今回、慶應義塾大学先端生命科学研究所所長の冨田勝先生を講師にお迎えし、「日本の未来はYAMAGATAから~慶應先端研の挑戦~」というテーマでお話しいただきました。
細胞の代謝物のデータを一度に分析できる「メタボローム解析」の技術を医学や農学の研究に生かし、新たな産業を創り出した、慶應先端研のこれまでの取り組みや成果、これからの展望について、興味深いご講演をいただきました。従来の、仮説を立てて特定の代謝物を調査するスタイルから、多くの代謝物を調べることで仮説を立てるスタイルへの発想の転換について、「本当のブレイクスルーは、初めホラに聞こえる」と振り返られました。また「優等生的な研究からブレイクスルーは生まれない」とし、教え子のベンチャー企業「スパイバー」を立ち上げた関山氏のクモ100匹を集めた行動力を「行動して形にするのはアイディアよりも難しい」と評価して、研究を支援したエピソードを明かしてくださいました。その後、後進の育成のために始められた、「高校生バイオサミット」での高校生達の研究に懸ける青春に触れ、大いに刺激をいただきました。
冨田所長のお話にインスパイアされ、「まだメタボローム解析されていないことは」「人工クモ糸の応用可能性について」「死体の代謝物の解析で死因は分かるのか」「人工クモ糸はタンパク質が原料だが、熱変性は起こさないのか」「逆に耐寒性はどうなのか」「クローンはできるのか」など、たくさんの生徒より質問の手が挙がり、一つ一つ答えていただきました。
生徒代表から「今までにない視点から挑戦を繰り返したことで新たな発見できたことがよくわかった」と感謝の言葉が述べられ、試行錯誤を繰り返すことへの勇気をいただき、講座が締めくくられました。
今回の講演を通し、生徒の知的好奇心はますます高まり、自己の生き方在り方を考えることができました。「一度しかない人生、人と違うという部分をどう使うか」という先生の言葉に、勇気をいただいた生徒も多かったようです。お忙しい仕事の合間を縫って、ご講演いただいた冨田所長に改めて感謝申し上げます。