年: 2018年

東京大学「高校生のための金曜特別講座」⑨

2月16日(金)、今年度第9回目となる「高校生のための金曜特別講座」が行われました。受講生徒は、1年次生56名、2年次生1名です。

今回は、東京大学教養学部総合自然科学科 教授 松田 良一 先生による「哺乳類の進化と妊娠-胎生の不思議ー」という演題でした。人類にとって、まだまだ未知な現象が多い胎生・妊娠現象について、マウスの実験結果などを交えて分かりやすくお話しいただきました。

また、松田先生は、この「高校生のための金曜特別講座」の創始者であり、この3月末でご退職されるということで、講演後半では、「高校生のための金曜特別講座」の歴史や先生の思い入れを熱く語ってくださいました。

今年度の本講座は終了となります。また4月から開講予定です。

以下に、生徒の感想の一部を紹介します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

免疫の分野で、自己と非自己について学習したことがありました。妊娠のことをよく考えると、なぜ拒絶しないのか、という疑問があることに、改めて気付きました。胎児の細胞が母体に進入しても拒絶しないことは驚きです。理由をもっと詳しく知りたいと思いました。また、マウスの実験で、老いているマウスが若返ったという内容をきいて、あり得ることなのかと驚きました。今まで妊娠については深く考えたことがありませんでしたが、こういった視点から考えると面白いと思いました。(女子)

中学校では理科や保健体育の授業で胎盤や妊娠について触れたが、今日初めて知ったことが沢山あった。特に、妊娠が進むにつれ、ヒトの胎盤の毛細血管が発達することや、疫学的に最終出産が遅い経産婦は長寿になるということが印象的だった。また、妊娠が胎児の生存を高めるとともに、母体にも有益であるということも理解できて良かった。(男子)

東京大学「高校生のための金曜特別講座」⑧

2月9日(金)、今年度第8回目の「高校生のための金曜特別講座」が行われました。受講生徒は、1年次生34名です。

今回は、東京大学教養学部教養学科教授 増田一夫 先生による「ヨーロッパの国境に立ってーヒト・モノ・カネの移動を考える」という演題でした。ヨーロッパの多様な国境(境界線)について学習し、その国境に立って「移民」を取り巻く諸問題について、様々な観点から講演いただきました。講演後の質疑応答では、Skypeを介しての本校生徒の質問に対して、丁寧にご回答いただきました。生徒の感想の一部を掲載します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本の政治やメディアでは「移民」という言葉はほとんど見られない。しかし、ヨーロッパの国々では移民はたくさんいて、国によっては受け入れ状況も異なることを理解した。2015年の調査では、移民が2億4000万人もいることにとても驚いた。その中で、ヨーロッパのある国々は反移民的な政権が統治されていることに疑問を抱いた。移民は、商品でも道具でもなく、人間だ。ある社会を選択してやってくる彼らを受け入れるには、彼らとともに対等な立場で国を作っていく覚悟が必要だと私も思いました。普段からこのような国際問題に目を向けて生活することが大切であると改めて実感した。(男子)

TVや新聞でシリアの難民の話を耳にするが、その背景に国境が立ちはだかっていることは知らなかった。また、難民危機の問題は、受け入れ側が不利になるようなイメージがあり、国から迫害されて最も辛い本人たちの気持ちなど一切考えることはなかった。今回、移民、難民の定義が明らかとなり、何が問題なのか、よく理解する事が出来きた。現在の日本は、少子高齢化が進み、人口について、よりシビアな問題が浮き彫りになっている今だからこそ、日本から遠いヨーロッパの問題でも、日本の未来のために考えていく必要があると思った。(女子)

第3回体験型実習講座「振動反応」が行われました!

2月7日、今年度の最終回となる体験型実習講座が、本校化学実験室にて実施されました。

今回の講座は、山形大学理学部理学科 教授の鵜浦 啓先生より、「振動反応」というテーマで実施していただきました。対象生徒は高校2年次理系生徒22名です。

はじめに、「ブルーボトルの実験」。メチレンブルーがブドウ糖で還元されて色が消え、振って酸素で酸化されると元の青にもどる。次に「信号反応の実験」インジゴカルミンの段階的な酸化還元反応で赤、黄色、緑と次々色が変わる様子に生徒も釘付けです。

 

 

 

 

 

 

次に、化学反応とエネルギーのつながりについてお話いただきました。化学カイロの反応が電池に応用できたり、化学反応のエネルギーが光として取り出せる「ルミノール発光」も観察しました。

そして、反応速度、化学平衡に関わる実験へ。「サーモクロミズムの実験」では温度によってコバルト化合物の色が変化するのが不思議な生徒たち。理由は3年生で学習します。

いよいよ非平衡の世界「振動反応」です。振動反応の理論を生物(オオカミとウサギ)の盛衰、そして数学的な考え方「ロトカーボルテラの方程式」という説明を聞き、いざ実験。黄色⇒色が消える⇒黄色⇒…を繰り返す様子を興味深く観察しました。

<主な生徒の感想>

・今回の講座では沢山の実験ができて楽しかったです。私はテレビなどで「ルミノール反応」については知っていましたが、詳しいことは分からなかったので、今日自分で実験して理解を深めることができました。「振動反応」では色が交互に変わっていく、とても興味深い実験でした。普段の授業では、先生の話を聞いて結果を頭では分かっていても、実際に実験してみると、より理解できました。(女子)

・様々な実験を行えて面白かった。しかも一つ一つの実験が簡単で成功しやすく面白かった。色が変わるといっても、振り方や温度の違いで変化が異なった。目の前で見る反応が、自分たちのよく知っているものに関係しているかと考えると、化学とは興味深いと思う。様々な現象に心奪われた時間だった。(男子)

鵜浦先生、たくさんの魅力的な実験を体験させていただき、本当に ありがとうございました。

体験型実習講座in山形大学理学部が行われました。

1月22日、1月29日に、山形大学理学部にて、高校2年次理系生徒78名を対象に体験型実習講座が実施されました。

昨年度に引き続き、山形大学理学部理学科 近藤慎一先生、宮沢豊先生より、「有機合成化学~アセトアニリドの合成~」、「DNA抽出とPCR法」のテーマで実施していただきました。

★「有機合成化学~アセトアニリドの合成~」

実験は次の手順で行われました。

・試薬とその量や理論収量を計算する。

化学で習った知識を元に計算しました。

・アニリンに水と濃塩酸を加えてろ過する。

いつもとは違う複雑なろ紙の折り方に生徒は苦心していました。

・無水酢酸を塩酸アニリン溶液に加え、すぐに酢酸ナトリウム水溶液を加える。(合成)

・氷冷し、吸引ろ過を行って、粗収量の測定を行う。

高校にはない、水道の水の勢いを使う吸引ろ過装置に興味のまなざしを注いでいました。

・得られた粗アセトアニリドを再結晶させ、アセトアニリドの結晶を取り出しました。(精製)

結晶が現われてくると、その美しさに感動していました。

・アセトアニリドを再び吸引ろ過で取り出し、溶媒を取り除く。

・ろ過したアセトアニリドを減圧下で加熱し、乾燥させ、最終的な重さを測る。

・実際に取れたアセトアニリドの理論収量に対する割合(収量)を求める。

実験では50%~60%程度の収量でした。有機合成では不純物も出来てしまい、すべてを目的の物質にすることができないことが分かりました。

・融点測定で純粋なアセトアニリドができたかを確認する。

簡単にできそうな気がしても実際やるとなかなか大変な測定であることが分かりました。

有機化学分野は、まだ学習していませんでしたが、これまで学習した化学の知識が活きる部分が実験の随所にでてきました。生徒たちが化学の面白さを感じることができる実験で、大変素晴らしい経験となりました。

近藤慎一先生、本当にありがとうございました。

<主な生徒の感想>

・私は今現在、化学科への進学を考えているため、今回の実習はとても有意義な時間になりました。実験は楽しく、改めて化学に対して興味を持たせてくれました。また、大学の雰囲気に触れることもできたのではないかと思います。私も受験生という立場になり、今後は一層受験勉強に励むことになります。今回の実習は私の受験に対するモチベーションアップという点でも意味のあるものでした。化学はもちろん、大学進学に向けて自主的な学習を頑張っていきたいです。(女子)

・今回の講義を受けて、私はとても刺激を受けました。自分が全く知らない内容だったので強く興味を持ち、積極的に実験に参加することができ、高校ではなかなかできないような体験をすることができました。この体験型実習講座で体験したことを踏まえて、「大学に入ったならば、このような実験をするのか」、「このような実験をして、自分はどのような考えや発見をするのだろうか」と考えさせられ、今後の大学受験への意気込みをより一層大きなものとし、活かしていきたいです。(男子)

  

★「DNA抽出とPCR法」

実験は次の手順で行われました。

・シロイヌナズナからのDNAを取りだす。

慣れないマイクロピペットに四苦八苦しながらも、ミスのないよう取り組んでいました。

・試料をPCR(DNAを増幅する機械)にかけます。

わずかなDNA断片が膨大な量となり、様々な分析や、場合によっては犯罪捜査にもつかわれることを学びました。

・電気泳動法によるDNAの検出。

染色に使われる蛍光色素は発がん性があるということ、また、感電の危険もあるという説明を聞き、生徒たちにも緊張が走ります(危険なところは宮沢先生がしてくださいましたが・・・)。

・電圧をかけてDNA断片を検出しました。

・結果をモニター上で確認。

うまく増幅されていたDNAがバンドとなって見え、一日の取組の成果によろこぶ班も多くありました。実験というのはこのような地道な細かい作業の繰り返しであることを最後に身を持って教えていただきました。

宮沢豊先生、本当にありがとうございました。

<主な生徒の感想>

・今回、講座に参加してみて、今まで知らなかったことをたくさん知ることができた。DNAは一度学習した分野だったので理解できていると思っていたが、まだまだ知らないところもあり、もっと詳しく学習してみたいと思った。また、実際に自分達でDNAの抽出とPCR法という実験をしてみて、やはり実験は面白いと思った。使ったことのない器具も使用したが、実験を成功させることができたので良かった。今回の実験結果をもとにDNAの長さをしっかり求めてみたいと思った。(女子)

・今日の講座では自分のわからないことを詳しく知れたり、あいまいに覚えていたところがすっきりしたりと、とても良い時間でした。また、DNA抽出の実験では途中ちょっとしたトラブルがあってうまくいくか不安だったが結果を見てきれいにDNAが写っていてほっとしました。記念にもらった写真は大切にしたいと思います。普段は見ることのできない機器が見れたり、先生方の熱い指導のおかげでとても良い1日を過ごせました。今日学んだことは決して忘れず、今後の生活に活かしたいと思います。(男子)

 

SSH通信 第3号