SS健康科学[SS家庭]【講話④】

演題  『生命科学の目で見る「健康」』


講師 山形県立米沢栄養大学 健康栄養学部 健康栄養学科

教授 髙橋 和昭氏

◆ 日時 令和元年11月8日(金)午後12時30分~14時30分

◆ 会場 山形県立東桜学館中学校・高等学校 中央棟 大講義室

◆ 対象 高等学校1年次生

◆ 概要

生命科学とは、健康・食生活・個性・倫理・基礎研究・環境・脳・医療などの側面から多角的に生命現象のメカニズムを解明することであり、ヒトが人間らしく生きるためには健康の維持が必要で、栄養・運動・休養が重要な要素になる。栄養の面では、健康を維持するために何をどれだけ食べればよいのかを示しているのが「日本の食事摂取基準」であり、2020年改訂版での改定点や健康を阻む要因について学びました。また、老化についてプログラム説(テロメア、長寿遺伝子)とエラー蓄積説(活性酸素と酸化ストレス)について分かり易く具体的な例えを挙げていただきながら、詳しくお話をいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ 生徒感想

◇今回の講義で、いわゆる「バランスの良い食事」で健康になるというものの、より深い内容を学ぶことができた。生物で学んだ内容が出てくることもあって、科学と健康というものの結びつきが感じられ、生命科学という分野に興味を持った。特に、食事制限によって、病気になりにくくなるサーチュインの効果が印象的だった。日本では、病気予防が進められているので、今後より注目されていくと考える。また、老化についても、酸化のしくみや、それを防ぐための働き、若年者と高齢者では細胞の中が違っているなど、初めて耳にするものが多かった。老化による病気でも、iPS細胞やゲノム編集を用いて解決できるようになれば、その分長生きできるようになる人もいるだろうが、死を望んでも死ねないという状態も生まれてしまうのかと思う。(1組女子)

◇「生命科学というのは総合的に研究されるものである。」というのは認識していないことだったし、避けられる病気と避けられない老化の両面から健康を考えることはなかったため、新鮮で面白かった。遺伝子が原因の病気といっても、後天的に染色体が変化し影響があるなんて知らず、驚いた。テロメアという人間の寿命に強く結びついているものの存在も知らなかったので、ガンなどが際限なく分裂していくのに、細胞が分裂しなくなっても老化するというのを不思議に思っていたけど納得できた。自然によって調節されて、うまくまわっている生物に人間が手を加えて何も起こらないはずもないと思うが、技術の進歩もすごいなと思った。(1組男子)

◇私は、今日の講義を聞いて、とても勉強になりました。その中でも、印象に残ったことは、摂取カロリーを制限すると健康寿命に効果があるということです。昔から、よく言われている「腹8分目」という言葉があるように、食事などをするときは、常に満腹にする必要はないということを改めて感じました。また、健康の目的を改めて考えさせられました。「人間らしく生きる」ためには「健康」が必要ということを知りました。これからも、人間らしく、そして自分らしく生きていくために、今まで以上に健康に気を使っていきたいと思いました。老化・疾病・遺伝子と細胞再生などといった再生医療はこれから先ももっと技術が発達していってほしいと思いました。iPS細胞やゲノム編集は、その言葉はよく聞きますが、あまり身近ではないと思います。これから再生医療の発達が予想される中、今からそのようなことを理解していく必要があると考えました。(2組女子)