R7年度前期 第4回校内東大金曜講座開催

7月4日(金)、今年度第4回目となる、東京大学教養学部が主催する「高校生と大学生のための金曜特別講座」の受講を校内で行い、中学生4名、高校生41名の計45名が参加しました。今回は、「自分の外に出る読書――アメリカ合衆国の短編小説を読む」と題し、東京大学 教養学部 教養学科准教授 井上 博之 先生から授業をしていただきました。今回は文学をテーマにした内容で、生徒たちは英米文学にふれながら「読むこと」の意味について深く考える機会となりました。

以下は受講後の生徒からの感想(一部抜粋)です。

・今日の講座を受けて、物語の中の語り手の心情の変化を詳しく分析していくことはとても興味深いものだなと思いました。繰り返し出てくる単語や人物像、過去形で書かれているなど、物語にはたくさんのヒントが隠されていて、それを探し出して、考察していくという過程がとても面白いなと感じました。また、作者の故郷や文化、生い立ち、性格などが作品に出ていて、作者に実際に会ったような気持ちになりました。これから小説を読むときは、楽しんで読むだけではなく、物語の中にあるいろいろな視点に目を向け、自分の外に出ることができるような読書を心がけていきたいです。

・今回取り上げられた短編小説家のカーヴァーの『大聖堂』は、短いながらも、語り手の思考の変化が、ロバートの印象と関わり方の違いで読み取れ、どんどん小説に惹かれていく感じがした。内容とともに英語の表現について取り上げられていたが、日本語で書かれていない分、どのように自分の中で解釈するのかが自由になり、人物の背景や性格、物語の進み方に着目して、読むことは面白いと思った。

・この話を読んで、「視覚と共感」について、語り手が目を閉じて何も見えない中で世界を見る体験は、私にも深い洞察の余韻が残りました。私達も、普段の生活の中で視覚に頼って世界を見ることが多くあると思います。だからこそ、見たものに興味がなければなんの感情も抱かないし、なにか抱いたとしても、瞬間的なものであったりするのだなと考えさせられました。語り手の閉鎖的な思考、視点や偏見が崩れる瞬間には、私たち自身の「盲目さ」に気づかされ、視野だけでなく心がより開放された気分になりました。日常の中に突然訪れる小さな気づきが、自分にとっての改革になるかもしれないということを考えると、大切にしていきたいと思いました。

井上先生によるレイモンド・カーヴァー『大聖堂』の解説は非常にわかりやすく、生徒たちに深い気づきと新たな視点を与えてくださいました。英語を学ぶ意味や読書の楽しさをあらためて実感し、多くの生徒が、より意欲的に学習や読書に取り組みたいと感じたようです。また、井上先生が語られた進路選択のきっかけについてのお話も、生徒たちが自らの将来を考える上で大きな刺激となりました。今後、生徒たちが世界各国の文学作品にふれ、自分の世界を広げていってくれることを期待しています。