R7年度前期第5回 校内東大金曜講座開催

7月11日(金)、今年度第5回目(前期最終回)となる、東京大学教養学部が主催する「高校生と大学生のための金曜特別講座」の受講を校内で行い、中学生7名、高校生45名の計52名が参加しました。今回は、「生物地理学:生物の分布を科学的に考える」と題し、東京大学 教養学部 学際科学科・准教授 池田 啓 先生から授業をしていただきました。

以下は受講後の生徒からの感想(一部抜粋)です。

講座を受ける前は、生物地理学は、生物の分布を地理的な目線で考えて、研究を進めていくものだろうとしか考えていなかったものの、この講座を受けてみて、生物の分布を現在の地理的要因や現在の生物の状態のみで判断するのではなく、過去の生物の状態や、過去の地理的要因、そして歴史的要因でも考えて総合的に判断していくということを知り、生物地理学はただ単に理系関係のものではなく、地歴科目全体も関わってくるもので、複雑で面白い教科なんだと魅力的に感じた。

今回の講演は、視野を広げることが研究においてどれほど重要なのかを再認識させてくれた。生物の分布や進化には必ず理由があり、その要因は様々な可能性があることについて述べられていた。今回はその中でも、氷河期による気候変動についての話が中心で、日本の高山植物の起源についてだけでも南下説と北上説という真逆の二説が存在することが話に上がった。少ない情報源から短絡的に結論を下すのではなく、さらなる情報の収集によって判断材料を増産を選択することの重要性について述べられていて、ためになった。

学校では馴染みのない「生物地理学」に触れて、今習っている生物基礎とは違った視点からの学問に興味を持てた。月山にブナ林があるので、偶然とはいえ心惹かれる導入だった 18世紀のさく葉標本がきれいな状態で残っているのは、「いつ頃に、誰が、どんな植物があったのか」や「植物の判別の基準になるから」などの理由があると知り、そういった情報のために長い時間保持しておくのは執念に近いように感じた。博物館は展示のみを行っているわけではないのも納得できる。

池田先生による講義は、生徒たちにとって「生物地理学」という新しい分野に触れる貴重な機会となりました。生物の分布を現在の環境だけでなく、過去の気候や地理、歴史的背景から総合的に考えるという視点に、多くの生徒が新鮮さと興味を感じていたようです。今回の講座を通じて、生徒たちは、理系・文系を横断する学びの面白さや、視野を広げて探究する姿勢の大切さを実感し、今後の学びや進路について新たな視点を得ることができました。