中学1年生は、6月5,6日に1泊2日で、山形県海浜自然の家 (飽海郡遊佐町)にて、東桜キャンプを行いました。
主な活動内容は、次の4つです。
①鳥海山ジオパーク散策(牛渡川・丸池様・吹浦海岸)
②グループ別の海釣り体験・カヌー体験
③野外炊飯(カレーとご飯づくり)
④仲間づくり
鳥海山は、山形県と秋田県にまたがる標高2236mの活火山です。溶岩によって作り出された景観、約10万年前の噴き出した吹浦溶岩がもたらす伏流水、歴史と文化を楽しめる海、山、島から構成されるジオパーク(2016年認定)です。
移動するバスの中では、探究部が事前に調べて作ったクイズ(鳥海山の成り立ちや自然などに関するクイズ)を解くことで、事前学習をしました。当日は、現地で鳥海山・飛島ジオパークガイドの会の方より、より詳しく地形の成り立ちや生息する生き物の生態などについて学びました。
◆ジオパークを五感で楽しみました!!
牛渡川(うしわたりがわ) 丸池様(まるいけさま) 釜磯海底湧水(かまいそかいていゆうすい)
鳥海山からの伏流水が海岸のあちこちから湧き出ています。ガイドさんより、火山である鳥海山が地下にある溶岩の隙間にスポンジのように水をためこみ、それらが少しずつ地下を流れ下り、20年前の地下水が地表に出てくるのだということを教えていただきました。牛渡川の流水は、真夏でも11℃を維持し続けていることを、実際に手に触れ実感することができました。丸池様も底から湧き出している湧水で満たされているため、朽木が枯れることなくそこに潜んでいるのが、エメラルドグリーンの水面から覗くことができました。吹浦海岸では、伏流水が海底から湧き出てくることを楽しみ、砂鉄採取にも挑戦しました。
◆釣り・カヌー・野外炊飯にも挑戦しました!
グループ別(希望)で、海釣りと海カヌーを楽しみました。普段の生活では体験できないことを存分に楽しみました。
1日目は強風のため海カヌーは中止になりましたが、その代わり海浜自然の家の木製のアスレチックでの活動を楽しみました.
◆振り返りアセスメント
振り返りアセスメントでは【探究する力】 【科学的思考力】 【他者を理解し協働する力】 【未来への責任に関する態度】 【地域への貢献する態度】について振り返りました。生徒の記入した感想を一部掲載します。
1探究する力
・地球温暖化で毎年平均気温が上昇しているが、湧き水や水温は今後どうなるのか。
・鳥海山では、標高1000mを超えると気が生えなくなるのはなぜか(森林限界)
・1日24リットルも水が出ているのに、なぜ水の量が変わらないのか。
・丸池様の水はなぜエメラルドグリーンなのか。
・ジオパークの海辺にプラスチックのごみなどがたくさん流れついていたことを目の当たりにし、ごみ問題の深刻さを感じた。
2科学的思考力
・「なぜ水がきれいなのか」という疑問に対して、20年前の水が山の中の石や砂を通ることでろ過されているからだと家の人に説明できた。
・湧き水は全て鳥海山に降った雨水や雪解け水である。その温度が一定(11度)を保っているのは、水が毎分24リットルも出続けているから。だから、丸池様の中に沈んでいる木が腐らないということを、根拠をもとに説明できた。
・ジオパーク研修で、液状化は地震(火山の噴火)が起きてできるものだと思っていたが、砂や水が混ざり細かな衝撃を与えればできることが分かった。
・カレーを作りで野菜の順番などを決める時、「〇〇すると、△△になるからこうしよう」と論理的に考え説明できた。
3他者を理解し協働する力
・相手の視点や考え方の認識、自分の考え方だけではいつまでたっても視野が広がらない。他の人と共有、関わっていくことで新たな考えが生まれる。「Yes,and」で意識も強くなった。
・以前は多数の意見を優先に考えたり、友達に助けを求めることがなかなかできなかったが、少数の意見も考えてみたり、助けを求めたりすることができるようになった。野外炊飯では一人ではできないことを、班の人と役割分担をし、協力したからこそ美味しいカレーができた。
・協力することも多かったが、自分一人で判断することができるようになった。時には人と力を合わせ、時には自分一人で行動できるようにしたい。
・あまり話した人が多く不安だったが、一人ひとりの意見を尊重して助け合うことができた。このことから、みんなで協力し合うことで仲間が増えるんだなと思えた。互いの良さを認め合い、新たな良さを発見できた。
・自分の役割でなくても自分から声がけをしたり、仲間の仕事を手伝ったりした。自分から動くのは、相手の為であり、自分の為でもあるんだと思った。「手伝う」ということは困っている人を助けることだと思っていたけれど、東桜キャンプを通して、自分が困っていなくても相手が手伝ってくれることから、重要な考え方であると共感するきっかけになった。
4未来への責任に関する態度
・はじめは釣りやジオパークで体験する楽しいことばかり考えていたが、どうやって自然を守るか、どのようにして自然と共存するかを考えることができるようになっていた。
・「季節風の影響で砂がとんでくるから、樹木を植えて砂を抑えた」というように、身近なことをどのようにしたら解決できるかを考えること。
・自宅で使う洗剤はどんなものを使っているのかを見直してみたい。できるだけ自然に優しいものを使いたい。
・皿を洗う時や髪を洗うときに、使わないのに水を出しっぱなしにしてしまうと水がもったいないし、本当に使いたい人が使えなくなってしまうから、節水をしたい。
・ごみは持ち帰る。いつでもごみを拾えるように、ごみ袋を常に持参する。リサイクルできるように、ごみは分別する。
自家用車を使わずに自転車で移動する。ペットボトルでなく水筒にしたり、エコバックを持ち歩いたりする。等
5地域への貢献する態度
・山形にこんなにも緑があることを五感で感じることができた。事前より圧倒的に知っていることが増えたので、湧き水や海、豊かな自然を守っていきたいと思えた。
・それぞれの地域にある独特の歴史・文化や自然守りたいと思った。特に伝統文化を教えつないでいきたいと思えた。そのきっかけを作る人でありたい。
・大人になったら、山形で働くか山形につながるようなことをしたいと思った。山形のいいところを他県、他国の人々に日本語や英語で伝えたいと思った。
・自分の家の近くにある牛渡川のような「小見川」。あるのが当たり前だったけれど、綺麗な川が少なくなっていることを知り、守っていかないといけないと思った。
・山形では米や果物などのたくさんの農作物が収穫できる。地産地消することで、山形の農業や農家の人の生活を守っていきたいと考えた。