SSH関連カテゴリー: 東京大学「高校生のための金曜特別講座」(中高)

第3回校内東京大学金曜講座開催

4月30日(金)に,今年度3回目の東京大学「高校生と大学生のための金曜特別講座」を校内で視聴しました。今回は「分子から生命をつくる合成生物学』と題し、市橋 伯一先生(東京大学 教養学部 統合自然科学科・教授)がご講演くださいました。中学1年生7名、2年生9名、3年生14名、高校1年次44名、2年次4名と81名が参加しての開催となりました。最先端の合成生物学の研究から、生物とは何か、進化とは何か、を考える非常に良い機会となりました。

<生徒の感想から>

今回の講座を聴いて、分子から生物を作るのは改めて難しいことだなと感じました。その理由としては、まず生物と化合物を分ける定義というものはまだあるわけではないし、自分たちも生物の一種であるため、客観的に生物というものがどのようなものであるか見ることが出来ないことが挙げられると思います。生物学にはまだまだ生物学の本質を知るための材料が少なくて、生物の本質を知ることはとても困難なことだけれど、もしその本質を知ることが出来れば、私たち生物に良い影響をもたらすものを作り出すことも可能になってくるかなと感じます。私も今年から生物学を学んでいるので、知識を身につけるだけでなく、それらのつながりを考え、生物というものはどういうものか、可能な限り考察してみたいです。(高校1年次 K.W.さん)

第2回校内東京大学金曜講座開催

4月23日(金)に,今年度2回目の東京大学「高校生と大学生のための金曜特別講座」を校内で視聴しました。今回は「カーストとは何か―インドの歴史人類学から再考する』と題し、田辺明生先生(東京大学 教養学部 教養学科・教授)がご講演くださいました。高校1年次が50名、2年次も13名、中学からも3年生3名、2年生3名が参加しました。多様性を受け入れるインドとそのカースト制度について、熱心に拝聴していました。

<生徒の感想から>

私自身、先生がおっしゃっていたように、「カースト=差別」というイメージが先行して、負のイメージが強かったが、そんなインドから多様性と平等性を見るというテーマ自体に、自分のあたりまえが覆される感覚を覚えた。私の中で、最も印象的だったのは、カースト制度の下で多様性が増えていくという構造だ。「存在の平等性」はとても頷ける原理だが、そこから生まれた多様性の形は日本にはない感覚だった。これまで4年間、違いを面白いと思い、楽しみ、相手の存在を認めるということを学んできたつもりだが、それでも同調圧力は生活の中にあると思う。他者を認めるには、まず自分を他者と違うととらえる前提の上で、存在を自分と同等として認めることが必要だと改めて感じた。(高校2年W.K.)

令和3年度第1回校内東京大学金曜講座開催

4月16日(金)に,今年度最初の東京大学「高校生と大学生のための金曜特別講座」を校内で視聴しました。今回は「『はやぶさ2』と太陽系の科学」と題し、橘省吾先生(東京大学理学部 地球惑星物理学科/地球惑星環境学科・教授)がご講演くださいました。高校1年次が24名、2年次も8名参加しました。はやぶさ2が持ち帰ったカプセル内の物質を分析するプロジェクトメンバーである先生の話に、感動しながら拝聴していました。

<生徒の感想から>

リュウグウの研究から地球の生命について迫るヒントが得られる可能性があると知り、宇宙を知ることで地球の生命を知ることがとても面白いと感じました。一つの分野に限って考えていてはできないことがたくさんあるのだということを感じました。これからわかるリュウグウについてや、ハヤブサ2についてのニュースが楽しみです。(2年K.K.)

今回の講座では、はやぶさ2が惑星竜宮に行った理由から教えてもらった。リュウグウでなければならない理由が、太陽の熱が影響していることを知り驚きました。自分は工学部に進学したいと思っていて、モノづくりを将来したいと考えており、はやぶさ2の構造を見た時ワクワクしました。(1年O.T.)

今回の講座で一生見れないようなカプセルからサンプルを取り出す機械を見れたことがすごくうれしかったです。私は宇宙が好きなので、地球や他の天体、宇宙のお話を聞くことが出来たことも嬉しかったです。「声を聴く」や「石が日焼けをする」など、身近で分かりやすい語句を使って説明してくださっていたのがとても印象的で、学問がより身近なものに感じられました。(1年K.S.)

東京大学金曜講座(校内実施第6回)を視聴しました

12月4日(金)に,今年度最後となる東京大学「高校生と大学生のための金曜特別講座」を校内で視聴し,高校1年次の11名と数学教員2名が参加しました。難しい内容ながらも,「数式で広がる数学の世界の面白さに気づくことが出来ました」,「万物を表す三角関数にいったいどれほどの可能性があるのか興味深かった」など,数学に対する新たな興味を開拓することができたようです。

<生徒の感想から>

研究の意味はどのようなものか,ということが特に印象に残った。フーリエ展開による微分方程式のように難しいものも簡単にするということが大切だということが分かり,また数学の自由さというものを実感した。自然に沿った考えをしなければならない物理などの自然科学に対し,パラドックスも正当化してしまうということから,ほとんど何でもありだと感じた。普段,数学は問題を解いていくもの,計算するものだと思ってしまうが,今回の講座で数学は決しそのような存在なだけでないことが分かった。(Y.S.さん)

東京大学金曜講座(校内実施第5回)を視聴しました

11月13日17時半より,高校1年次生31名が参加して岡迪尚地先生(東京大学 教養学部 教養学科・准教授)による「国家債務危機と金融危機」の講義を視聴しました。日本の国家債務の話など,高校生にもわかりやすい講義で,経済学に対する関心を高めることが出来ました。なお,次回11月20日(金)東京大学総長の講義は希望者が自宅などで視聴することになっており,後期の最終回となる校内視聴は12月 4日の予定です。

<生徒の感想から>

経済学は,経営者のための学問で自分にはあまり関係のない学問分野だと思っていたけれども,国家の財政に関する研究もしていることを知り,自分が思っているよりも身近で興味深い学問だったんだと感じた。今,日本が多くの借金を抱えていることは知っていたけれど,破綻したらどうなるかは知らなかったので,今回の話を聞いてものすごく危機感を感じた。しかし,そう簡単に解決できる課題でもないから,危機感と共に,難しさ,複雑さも感じた。国民一人一人に関係することだから,もっと目を向けて考え続けていきたいと思った。(K. T.さん)

今日は私の普段の生活では触れることのない,国家債務危機と金融危機という講義を通して,日本の経済の現状や対策など,新しい知識をつけられただけでなく,経済の本質的なところや,大切にするべきところまでをも教えて頂けたと思います。私たちに対するメッセージとして「品格を持つことが最後には必要になってくる」という言葉が心に残りました。Cool head, but warm heartを心掛けたいです。(O.O.さん)

 

東京大学金曜講座(校内実施第4回)を視聴しました

10月30日(金) 17:30より19:10まで、後期4回目となる東京大学金曜講座の校内視聴を、22名で会議室にて実施しました。今回は、東京大学生命科学シンポジウムとの共催による特別オンライン講演会で、「新型ウイルス感染症:東大の基礎研究から生まれた治療薬の種」と題した井上純一郎(東京大学 医科学研究所・特命教授)先生の講演を拝聴しました。

<生徒の感想から>

今回の講演で、SAPS-COV-1(-2)、MARSなどのウイルスの名前が出てきた時、つい最近SS健康科学でコロナウイルスについて調べたばかりだったので、予習できたようになっていて、とても助けになりました。フサンという名前の薬があって、その薬の「フ」が開発した藤井先生の名前からきているということに驚きました。(中略)ウィルスの侵入方法や、フサンによる抑制についてとても分かりやすかったです。よく聞くPCR検査のような仕組みも知ることができました。(高校1年 M.K.さん 写真も感想用紙の裏に書かれたものを掲載しました)

今回の講座で、Sタンパク質で融合が起こり、ナファモスタットを混ぜると、細胞融合が阻害され、カモスタットと比べると、10倍以上強い阻害能力が働くことがわかりました。SARS-COV-2がヒト細胞への侵入と増殖、脱出の3つのサイクルを繰り返していることも分かりました。(中略)ナファモスタットは細胞侵入を抑制するのと共に、肺血管内凝固異常症における血栓形成阻止もしていることにびっくりしました。以前まではコロナウィルスの感染と聞いてもどのようにして感染しているのかわからなかったけど、詳しく知ることが出来てとてもためになる講座でした。(高校1年S.T.さん)

東京大学金曜講座(校内実施第3回)を視聴しました

10月23日(金) 17:30より19:10まで、後期3回目となる東京大学金曜講座の校内視聴を実施しました。今回は、鎌倉夏来(東京大学理学部数学科・准教授)先生による 「地域活性化を考える:産業立地の視点から」と題したご講演を拝聴しました。参加者は10名と少なかった回になりましたが、身近なテーマに参加した生徒たちは真剣に講義に聞き入っていました。次回は30日に行います。

<生徒の感想から>

今回は身近なテーマで、とても魅力ある講演だった。中学校の頃から地域・山形と向き合う機会が多くあり、未来創造プロジェクトでも地域活性化を題材にすることもあった。しかし、そもそも地域活性化とは何なのか、についてはあまり考えていなかったかもしれず、自分自身きちんと課題と向き合えていなかったのかな、と感じさせられた。また今回は、産業立地という視点で、今まで考えたことのなかった切り口で興味深かった。産業立地を見ることで、仕事が集中している拠点や地域の産業の在り方が見えてくるのがとても面白かった。山形でも、近年IT系のベンチャーなどが増加していると聞いているので、一度山形における産業立地を調べてみたいと思った。やはり、フィールドワークをして、自分の目で見て考えて、という研究を行っていきたいと改めて確認できた。(W.K.さん)

東京大学金曜講座(校内実施第2回)を視聴しました

10月16日(金) 17:30より19:10まで、後期2回目となる東京大学金曜講座の校内視聴を実施しました。今回は、東京大学大学教養学部准教授・渡邊淳也先生による 「認知モードの言語間比較」の講義で、本校の会場は大講義室に戻り、60名以上の希望者で視聴し、2名の生徒が質問してご回答いただくこともできました。次回は23日に行います。

<生徒の感想から>

今まで私は、英語は論理的で日本語は非論理的であると聞くことがよくあり、そう思い込んでいたけれど、そうではなく、DモードとIモードの違いによるものだとわかった。英語と日本語、その間と言えるようなフランス語の3言語を比較し、それぞれの性質を挙げた時、英語はDモード的、日本語はIモード的、そしてフランス語はそのどちらかによりつつ、DモードとIモードの間のような感じがした。(中略)認知モードの概念によって、広汎な言語減少についての説明ができることはとても興味深いと感じた。(H. I.さん)

和訳した英文や、英訳した日本語が不自然で分かりにくい文になってしまうのを見て、疑問に思っていたが、物事のとらえ方がそもそも違うということを理解できた。他にも日本語は主観的な言語だからオノマトペが多いことや、英語は客観的な言語だから一人称が一定だということなど、言語の仕組みの理由について学ぶことが出来た。これから英語を学ぶ際は、Dモードの考え方を意識していきたいと思う。(中略)日本語の面白さや深さに気づくことが出来、外国語との違いや時代背景について、自分で調べてみたいと思った。(A. Y.さん)

東大金曜講座、校内での受講を再開しました!

本年度、コロナ対策のために東大金曜講座の受講を個人対応にしてきましたが、生徒の受講のしやすさを考慮し、校内での受講を10月2日に再開いたしました。東京大学 教養学部 教養学科・准教授の國分功一郎先生の「新型コロナウイルス感染症対策から考える行政権力の問題」と題された講義を、本校生22名が会議室で視聴しました。講義後も、本校生2名が質問で挙手していました。残念ながら時間内に質問することはできませんでしたが、自由を制限するということの意味など、真剣に講義内容について考える、良い機会となりました。

<生徒の感想>

今回の講義を聞き、新たな観点から物事を見て考えることはとても大切だと思いました。アガンベンのような考え方は、私が普通に生活している中では絶対に思いつくことのないものでした。「死者の権利」なども同様で、私たちの権利の放棄という問題に気づくことが出来ました。初めて哲学の講義が聞けて良かったです。(1年次Mさん)

今回の講義で、移動の自由というものが、たくさんの権利の根幹にかかわるものであることを知った。そして外出自粛を簡単に受け入れてしまうのは、自ら考えないことに大きくつながっていることも知った。これらは投票率の減少からもわかるように、国民の政治にかかわる権利や移動の自由に対して、興味関心を持っていないことが根底にあるように感じられた。(高校1年次Yさん)

第9回東大金曜講座

12月6日(金)の17時半より、本校では今年度最後となる東大教養学部「高校生と大学生のための金曜特別講座」を高校1年次生49名が受講しました。今回は「合同数について」と題し、三枝 洋一先生(東京大学 理学部 数学科・准教授)が講演され、「三辺の長さが有理数であるような直角三角形の面積として表される整数」である合同数を判定する方法や、ある合同数に対応する直角三角形はどのくらいあるのかについて学びました。

【生徒の感想(敬称は男女とも「さん」)】

世界は広いと思った。数学の中の「整数論」だけでも素朴な未解決問題がたくさんある。そう考えると、私たちが知っているのはほんの少しのことで、まだ視野にする入れられていない部分がたくさんあると思う。私は数学の楽しさは”必ず解があること”だと考えていたため、”問題を解く楽しさ”も存在すると感じた。現代数学を発展させていくことは、直接私たちには関係しないかもしれない。しかし、数学者が「わからない」を解決するだけで、現代の私たちに影響するようなものを作ることができた時、数学は今よりもっと価値の高いものになっていくと思った。(T. Y.さん)

「合同数」や「楕円曲線」「タンネルの判定法」などと聞くと、難しそうに感じたが、1つ1つのことは今数学で学習している内容が主となっていて、理解できたものもあったので、今の数学で学習していることをきちんと身につけていれば、大学に入ってからより深く学ぶことができると感じた。普段だったら自分からは知ろうとしない分野なので、こういった機会に新しい世界に触れることができてよかった。(K.A.さん)