2学期のスタートにあたり②(校長より)

2学期のスタートにあたり、”生徒諸君へ伝えたいこと”の2回目です。

今回は、授業等に臨む際に、皆さんに期待する心構えについてです。

東桜学館では、「東桜コンピテンシー」(身に付けたい資質・能力)を11項目定め、教育活動のあらゆる場面でその伸長を図るよう努めています。

その中に、「批判的思考力」と「論理的思考力」があることは、皆さんも知っていることでしょう。2学期には、是非、この2つを特に意識し、授業をはじめとするさまざまな活動に取り組んでほしいと思います。

それでは、東桜学館として定義付けている「批判的思考力」「論理的思考力」をもう一度確認しておきましょう。

「批判的思考力」critical thinking

誰が言ったかに左右されず、事実は事実、意見は意見として区別してそれぞれを評価する力。「なぜか?」という問いを常にもち、様々な角度から客観的に物事を考える力。情報を観察し、分析し、論証し、最終的には自分の意見を提示する一連の思考技術。

「論理的思考力」logical thinking

複数の物事の関係を整理し、根拠を示しながら筋道を立てて考える力。物事の因果関係を整理し順序立てて考える力。また、それをわかりやすく説明する力。

 

端的に言うと、授業の際は、「批判的思考力」を発揮し、常に「なぜ?」と自分自身に問いかけてほしいということです。それは、授業の内容の本質を深く理解するためです。当然、先生に質問する機会が増えてくると思います。

自分は暗記に頼りがちだと感じている人や定期テストはそれなりなのに実力テスト(模擬試験)は・・・と感じている人は特に意識してほしいと思います。

わかりやすい例を挙げると、定期テストの数学では、使う公式や解法がある程度決まっています。ですから、問題を解く際に、用いるべき公式や解法は何か、をあまり意識しなくても問題が解けます。
一方、実力テスト(模擬試験)では、その問いで解決すべき内容をしっかりと理解した上で、それを解決するために最も相応しい解法(公式など)を自分がそれまでに学んできたことの中から見つけ出したり、場合によっては学んできたことを総動員したりして考える必要があります。

つまり、問いを解決する際に大切なのは、解き方を覚えていること以上に、この問いを解決するためにはどのような道筋を辿ればいいのか、あるいは、なぜこの解き方が相応しいのかということなのです。少し難しい言い方をすると、問題の本質は何か、ということです。

それを意識している状態が、私は「批判的思考力」が身に付いている状態だと思います。

これは、何もテストの問題を解くために必要な力だから言っているのではありません。
例えば、課題を解決する際には、5回「なぜ」を繰り返すと解決すべき課題の本質を突き止めることができるとよく言われます。
むしろ、社会に出てから様々な課題を解決しようとする際に「批判的思考力」は活かされるものと思います。

ちなみに、今年の「SSH生徒研究発表会 代表校による全体発表」で発表された長崎県の高校生の発表テーマは「なぜ、落ち葉は裏向きが多いのか?」というものでした。私は、その着眼点の素晴らしさに感銘を受けました。日頃から「なぜ?」という視点で物事を見ていると、自分でもびっくりするような面白い「問い」に巡り合うかもしれませんね。
(この研究は、テーマはシンプルですが、データ分析や実験による仮説検証など科学的な手法を用いたしっかりとした研究であり、SSH以外でも様々な賞を受賞しています。)「なぜ落ち葉は裏向きが多いのか?」 本村さんが文部科学大臣賞(長崎新聞)

また、授業で理解した内容等を、根拠を示しながら、筋道を立てて、他者にわかりやすく説明する力を身に付けることで「論理的思考力」を鍛えてほしいと思います。東桜学館では、様々な場面で探究的に学ぶ機会がありますが、是非、わからないところを教え合うなど、仲間と学び合う機会を自分たちで数多くつくってください。

2学期も失敗を恐れず(失敗したらその失敗から多くのことを学び)、果敢に挑戦し、少しずつ成長していきしょう!