2022年、日本の「報道の自由度ランキング」は71位です
【G7、東アジア諸国の2022報道の自由度ランキング】
16 ドイツ 19 カナダ 24 イギリス 26 フランス 38 台湾 42 アメリカ 43 韓国 58 イタリア 71 日本
今回は、新聞記事などを引用しながら、報道の自由度ランキングについて調べてみました。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF、本部パリ)は2022年5月3日、2022年の世界各国の報道自由度ランキングを発表しました。対象180カ国・地域のうち、日本は昨年から4つ順位を下げて71位。ノルウェーが6年連続で首位でした。また、ウクライナ侵攻に絡み、報道規制を強化したロシアは155位へ5つ下落しました。
中国の統制強化が進む香港は148位(21年は80位)となり、下落幅は今年のランキングで最大でした。中国は2つ順位を上げ175位でした。
RSFは、民主主義国で偏向報道の増加やSNS(交流サイト)を通じた偽情報の拡散により社会の溝が深まっていると指摘。クリストフ・ドロワール事務局長は声明で「強権国家は(官製)メディアを自身の武器とし、市民の知る権利を消滅させている」と訴えました。
日本についてRSFは、大企業の影響力が強まり、記者や編集部が都合の悪い情報を報じない「自己検閲」をするようになっている国の例として韓国やオーストラリアとともに言及しました。
イスラム主義組織タリバンが昨年実権を握ったアフガニスタンは156位(同122位)へ、昨年のクーデターで国軍が全権を掌握したミャンマーは176位(同140位)へ、それぞれ大きく順位を下げました。最下位は北朝鮮(同179位)でした。
今回、RSFは順位決定の方法を変更。政治や経済、社会・文化の各影響、法的枠組み、安全性の5指標で判定しました。
(以上、2022年5月3日 日本経済新聞より引用)
【2022報道の自由度ランキング ベスト10】
1 ノルウェー 2 デンマーク 3 スウェーデン 4 エストニア 5 フィンランド 6 アイルランド 7 ポルトガル 8 コスタリカ 9 リトアニア 10 リヒテンシュタイン
※1:報道の自由度ランキングとは、Reporters Without Borders(国境なき記者団)が2002年より発表する、報道と自由に関するランキング情報だ。Reporters Without Bordersは、RSFと省略されるケースが多い。RSFは、1985年、フランスにて、4人のジャーナリストによって設立されたNGOの一つである。
RSFは①メディアの状況、②政治的背景、③法的な枠組、④経済的背景、⑤社会的状況、⑥記者の安全性の観点から、各国について述べている。今年から評価基準は変わっているので、実は前年と比較するときは注意が必要である。
※2:民主党が政権交代した時期、鳩山内閣時代のランクは北欧諸国と肩を並べた11位に跳ね上がったことがあった。外務省の外交機密文書公開や政府省庁の透明化の推進、記者クラブの自由化、放送電波の自由化等のメディア政策が積極的に動き出した時期でもあったが、民主党政権崩壊で消滅した。またこれらの民主党の政策に対する国民世論の支持が希薄だった点も見逃すことはできない。
自民党が政権を奪還してから再び報道の自由ランクは下落に転じた。「民主党時代は悪夢だった」と自民党はよくいうが、報道の自由に関しては悪夢どころかバラ色だったのだ。
国境なき記者団のランクのスコアの決め方はおかしい、報道の自由は主観的な問題で、ランキング等気にする必要はないという意見がある。しかし報道の自由を侮ってはいけない。自由なメディアの影響力が弱体な国は、いくら経済や軍事力があっても、国力は弱いという指摘がある。(2022.5.16論座の記事より)
日本を報道の自由度ランキング71位と判定した理由について、評価基準ごとにRSFがコメントを発表しており、その内容は次のWebページに示されています。