8月22日(金)に、未来創造プロジェクトにおける意見交流会を行いました。これまでの探究活動の内容を発表し合い、意見を交流することで、見方を広めていくとともに考えを深め、今後の探究活動の方向性を探っていくことをねらいにしています。
ここでは、東桜コンピテンシーの【表現力・発信力】【傾聴力】【批判的思考力】の育成もねらいます。
発表は、ポスターセッション形式で、1グループ20分を持ち時間とし、探究テーマの設定理由や今考えている探究の方法などを説明しました。
東北芸術工科大学より5名、山形大学より1名の先生方、そして山形大学理学部の学生さん5名(本校の卒業生)も助言者として来校いただきました。全学年、活発な発表が行われ、聞き手も疑問点を発表者に積極的に質問し、共によりよい探究となるようにと発言する前向きな姿勢がみられました。この意見交流会を通して、これまでの探究活動に新たな気づきが加わりました。今後はフィールドワークに臨み、さらなる探究の深まりをめざしていきます。
◆基本目標(6年間)と中学校の学年毎の大テーマとめあては添付資料の通りです。
◆ここまでの学習の様子を、学年毎に簡単に振り返ります。
【1学年】***つくる・うみだす【身近なところからデザイン(よりよく)する】*****
5月 探究の根幹となる「デザイン思考」「Yes, and」の考え方を理解
東北芸術工科大学の柚木泰彦教授をお招きし、「デザイン思考」について学びました。デザイン思考は、本校の探究学習「未来創造プロジェクト」を進める上で基盤となるイノベーション・メソッドです。ガイダンスでは、「Yes,and」の会話からアイデアを広げていく手法や「Will、Can、Need」の意識で課題を見出していくことを学びました。今年度も、3回にわたり「デザイン思考」について演習をしながら学びました。
- 1回目:ガイダンス 「デザイン思考」「Yes,and」「Will,Can,Need」
- 2回目:「身近な課題を通してアイディアの広げ方やまとめ方を学ぶ」
- 3回目:「他者の視点に立つ探究の基本姿勢を育む」友人のペンケースをデザインする
演習では、仲間との交流から課題を明確化するワークなどを行い、課題解決の糸口を探ることができました。「友人のペンケースをデザインする」では、友人の思いに寄り添って、自分たちでアイデアを膨らませたプロトタイプの制作を行いました。使用する人の思いに立ち、インタビューを繰り返してアイデアを考え、試作品を製作しました。
6月 「身近なモノ・コト に、なんでやねん!」で「探究のタネ」を見つける
身近なことから興味のタネを見つけ出すために、『身近ななんでやねん』をテーマに、1日の行動のリスト化し、「なんでやねん」とつっこみを書き、それらを細分化していきました。また、春課題『探究のタネ探し』(本校作成)を活用して、自分の困りごとだけではなく、家族の困りごとにも視野を広げました。
※本校使用テキスト 未来を拓く探究シリーズ「探究ナビ」Benesse 参照
7月 「探究のタネ」を育て、課題設定する
多面的に見通すためにワークシート(フイッシュボーン等)を用いて、探究のタネを育て、課題設定しました。その課題を解決するために、インタビューしてリサーチしたことなどをもとに、夏休みの活動も含めた探究計画を立てました。
※本校使用テキスト 未来を拓く探究シリーズ「探究ナビ」Benesse 参照
※1年学習シート①②
【2学年】***うごく・つながる【やまがたの未来をデザイン(よりよく)する】****
5月 地域創生講話を聴き、視野を広げるとともに「探究のタネ」を探す芽を育てる
広い視野で人々と力を合わせて共に生きる社会をつくるために、地域に深く根ざしてご活躍されておられる3名の方を講師にお招きし、地域創生講話を開催しました。
- 大山精機専務 大山 真吾 様
- 果樹園経営 結城こずえ 様
- 社会福祉士 柴田 邦昭 様
第1回は、大山精機の大山真吾様より「君たちが創る価値の羅針盤」と題してお話しいただきました。 「何のため(目的)を考えれば、本当のニーズを見つけられるということを知り、「イノベーション創出思考法」では、「新しい価値」のとらえ方や付加価値をつけることの大切さなどを学びました。
第2回は、山形まるつね果樹園の結城こずえ様より農業支援についてお話しいただきました。結城様は、ニューヨークの国連本部にて、国連女性の地位委員会でスピーチの経験をお持ちで、また、やまがた農業女子ネットワークの発起人でもあります。何事も前向きに行動してみることの大切さを学びました。
第3回は、社会福祉士の柴田邦昭様に、「私たちの生活と福祉」と題してお話しいただきました。講話の最後には、柴田様より「未来を担うキミたち一人一人が『誰かを思いやる気持ち』を持つことが地域の力になる」とのメッセージをいただきました。
6月 課題を見つけ、テーマを探る
新聞や市報、広報誌などから気になるワードを拾ったり、山形県の様々なデータを分析したりすることを通して、地域を知り、山形の良さや課題を見つけました。自分が興味を持ったキーワードから「自分がやりたいことは何か」「社会で求められていることは何か」「今の自分が技術的にできることか」を改めて自己に問いかけながら探りました。
7月 テーマを設定し、解決方法を探る 見通しを持つ
課題設定に向けたビジョンシート(本校作成)を用いて、探究の具体的なビジョンを明確に持ちました。ターゲットを明確にし、どんなことをねらいとして、誰とつながると上手くいくかを考え、具体的にどんな行動を起こしていくかを考えました。
※2年ワークシート①②③
【3学年】さぐる・たしかめる【社会に貢献で見る未来の自分をデザインする】
4~5月 課題研究テーマ決定に向けて
本校の高校の先生を講師に迎え、「課題研究」について講義をいただきました。3年では、個々の興味関心に基づき、社会の多岐にわたる分野から、テーマを見つけ研究していきます。リサーチクエスチョンとは何かということや、リサーチクエスチョンをより焦点化して検証を進めていくことについて、先輩方の実践例をもとに学びました。情報収集(先行事例・先行研究)⇒リサーチクエスチョン⇒仮説⇒検証方法の検討⇒検証(調査・実験)⇒結果の考察⇒新たな仮説 というプロセスで、実践を通して学びます。
6月 リサーチクエスチョンを導く
個々の興味・関心のあることをキーワード化し、そのキーワードについて定義を明らかにし、学術分野に分類します。それに関わる先行研究を調べ、具体的な「問い」を立てます。「問い」を立てるために、関連する知識を広げたり整理したりしながら、キーワードに刺さっていきます。生徒それぞれの興味・関心を掘り下げるということは、生徒自身の今後の進路選択や生き方にも関わるものであるととらえます。問いに対する答えを導く難しさと、その楽しさや喜びを味わうとともに、他者と協働して課題に向かい、飽くなき探究心を醸成しています。
※本校使用テキスト「課題探究メゾット 2nd Edition 」(啓林館)参照
※3年学習シート①②③④⑤
7月 リサーチクエスチョンの設定 検証方法を探る
「問い」から「リサーチクエスチョン」を導き、仮説を立てて(答えの予想)、研究の方向性を定めます。ゼミの先生にグループごとプチプレゼンテーションをし、助言をもとにRQ, 仮説、検証方法を検討しました。プレゼンテーションの視点として次の5つを挙げました。
■リサーチクエスチョン(RQ)
■問題の所在(研究の目的や意義、言葉の定義)
■先行研究・先行事例(この問題に関する現状・自分たちの研究との違い)
■研究の仮説(RQに対する「答え」の予想)
■研究の方法(RQの答えを導き出す手法)
ゼミ担当教員は、問い返し、リサーチクエスチョンの内容がより明確になるように指導しました。あやふやなリサーチクエスチョンは、これまでのワークシートを振り返らせ、クエスチョンマッピングを活用しながら導き、先行研究等の情報収集に努めるよう助言しました。