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東桜祭2021 点描

 

今回の東桜祭のテーマは ”桜実(みのり)”

2学期のスタートにあたり⑥(校長より)

8月24日の読売新聞に「社会・政治への関心低め」というタイトルで、高校生の国際比較調査の結果(国立青少年教育振興機構による)が掲載されていました。

その記事によると、日本の高校生は、
・インターネットで知り合いとのコミュニケーションはよく行うが、
・社会や政治に関する情報収集や発信は少なめ
との結果が出たそうです。

このことは、今に始まったことではありませんが、次のようなアンケート結果を目にするとやはり残念に思う点があります。

[質問1] 実際の知り合いとのコミュニケーションをよくする
日本:78.0% 米国:69.8% 中国:56.9% 韓国:61.8%

[質問2] 社会や政治に関する情報収集をよくする
日本:13.5% 米国:34.8% 中国:37.6% 韓国:23.1%

[質問3] 社会や政治に関する情報発信をよくする
日本:4.1% 米国:23.5% 中国:21.8% 韓国:14.5%

◎[質問1]について・・・良好なコミュニケーションは望ましいことですが、一方で気になるのは、スマホに依存し過ぎていないだろうか? SNSに縛られていないだろうか? ということです。
「友達から届いたメールにはすぐに返信しないと人間関係が壊れてしまう」といった不安感を持つ人がいると聞きます。それで壊れてしまうような人間関係ってどうなのかな、と感じてしまいます。(そのようなことは、大人になったらあり得ないことです。また、そんな友達は私はいりません。)
◎[質問2][質問3]について・・・東桜学館生は、日本の平均値よりも高いように推測(期待)します。投票権を得たら選挙に行こう!といつも話をしていますが、社会や政治のことは我々の生活に深く関わっている、という認識を東桜学館生は比較的持ってくれていると私は思っています。

 

また、この調査の報告書(概要)では、日本の高校生の特徴を次のように述べています。

・学校行事やクラブ活動への参加意欲は高いが、生徒による自治活動への参加意欲は低い。
・学校外の活動の中では、趣味に関する活動の割合は高いが、米・中・韓と比べれば全般的に低い。
・趣味やアルバイトへの関心は高いが、政策への意見表明や地域の交流活動への関心が低い。
・新聞やニュースをよく見るが、「エンターテイメント」に関心が高く、「政治」「文化」への関心は低い。
・インターネット上で知り合いとのコミュニケーションを「よくする」が、社会や政治に関する情報の収集や発信を「よくする」と回答した割合が低い。
・社会問題を自分の生活に関わることとして捉えているが、政治や社会への参加意欲は低い。

 

この調査について、さらに知りたい方は、次の概要版(pdf)やWebページをご覧ください。

高校生の社会参加に関する意識調査報告書〔概要版〕R0306国立青少年教育振興機構.pdf

https://www.niye.go.jp/about/report_list/18245178760e3af44c9a1c20210706101756.html

2学期のスタートにあたり⑤(校長より)

東桜学館生にとって学業は重要です。そして、学業を課題に挙げる人は数多くいるでしょう。

それが、心のバランスを崩すようなレベルまで達することがないよう私は願っています。

先生方からも言われていると思いますが、本来、成績は人と比べて評価するものではありません。あくまでも目安として、順番や偏差値などを指標や目標とすることは悪いことではありませんが、それに縛れてはいけません。

それでは何を指標にすればよいのでしょうか。
私が皆さんによく話をするのは「昨日の自分を超えましたか?」ということです。つまり、「今日の自分は、昨日の自分と比べてどんなところが成長しましたか?」ということです。
授業や部活動、家庭学習など、日々何かに取り組んでいれば、昨日よりも必ず成長している点があるはずです。成長期にある10代の皆さんならなおさらです。それをしっかりとメタ認知して自分を評価できる人になってほしいと思います。

例えば、大学入試を前にした人たちに私が話をする際は、偏差値や順番などという話は一切しません。それは、あくまでも目安であり、問題の本質ではないからです。

それでは、受験生にとって問題の本質は何かというと、例えば、教科書の内容をどの程度身に付けているか、取り組もうとしている問題集の問題をどの程度解けるようになっているかです。それを明確に答えられるようにすることが大切です。
それは、なぜかというと、勉強は、自分がわからないことをわかるようにしたり、できないことをできるようにしたりすることだからです。
そのためには、自分のわからないところ、できないところを自分で自覚する必要があります。(他者からの指摘により、それを自覚するという方法もありますが、自分でそれを自覚できた方がより主体的だと思います。)

以上のような視点で、常に「昨日の自分を超えていけ!」を合言葉に日々の取組を振り返り、自分の成長を実感できるようになってくれることを期待します。

 

2学期のスタートにあたり④(校長より)

今回の内容は、以前、始業式で触れた内容です。

東桜学館は、国際理解教育や外国語教育に力を入れています。言い換えれば、異文化理解教育に力を入れていると言ってもいいでしょう。

ところで、異文化理解とはなんでしょうか?
外国の文化を知ること、まずは自国のつまり日本の文化を知ること、など様々な視点があると思います。

私が、皆さんにこれまで、異文化理解の入り口として話をしてきたのは、かつて山形県の教育委員会委員長をされた石坂公成(いしざかきみしげ)先生の講演をお聴きした際の内容です。(石坂先生についての詳細は検索してみてください。石坂先生は、文化勲章を受勲された著名な免疫学者です。)

その中で、石坂先生が、米国の幼児教育で大切にしていることをこのようにおっしゃっておられたのを印象深く覚えています。

「米国では、まず『他者は自分とは異なる存在であることをしっかりと認識すること』を教えます。」

人種やルーツが多様な米国だからこそ大切にしていると考えることもできますが、一方で「他者は自分とは異なる存在であること」はあたり前のことでもあります。
しかし、日本では、所謂「同調圧力」という言葉に象徴されるように、理屈としては人は皆それぞれ異なることをわかっていながらも、多くの人が他の人と同様であることを望み、違っているとそれを排除するような行動をとったり、誹謗や中傷を浴びせたりする現実があります。

まずは、他者は、自分とは育った環境、性格、ものの見方や考え方が異なる存在なのだということをしっかりと認識したいものです。
だからこそ、みんなで力を合わせ、一つのことを成し遂げるのは難しいことであり、尊いことなのだと思います。
そして、そのために我々はよりよいコミュニケーションのあり方を日々身に付けようとしているのだと思います。

また、他者は自分とは異なる存在であることを認識すると、他者に対して「寛容」の心も生まれてくるのではないでしょうか。

SNS等によって他者を誹謗、中傷してはいけないということは誰もが認識していることだと思います。
ただ、ここで皆さんに自分自身を振り返ってほしいのは、もしかすると、自分は誹謗や中傷だと認識しないまま、そのような行為をしている場合もあるのではないかということです。それは、自分自身の知識や理解が不足しているためであったり、想像する力や物事を客観視する力が不足しているためであったりするかもしれません。(だからこそ、メタ認知能力や批判的思考力を身に付ける必要があるのです。)

考え方がはっきりしていることは、一見よいことのように感じますが、その考え方が偏ったものの見方になっていたとするとやっかいです。
したがって、成長期にある皆さんには、一つの考え方に固執するのではなく、物事の捉え方は千差万別であるという前提で、様々な考え方を吸収し、その上で最適解を見つけていってほしいと思います。

そして、「他者は自分とは異なる存在であること」をしっかりと認識し、「多様性」と「寛容」の心を大切にできる人になってほしいと願います。

最後に、金子みすゞさんの有名な詩を一つ掲載して終わります。

「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ 

 わたしが両手をひろげても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥はわたしのように、
地べたを速くは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴る鈴はわたしのように
たくさんなうたは知らないよ。

鈴と、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。

中学校未来創造プロジェクト意見交流会!

8月20日(金)に中学校各学年において、未来創造プロジェクト意見交流会が行われました。この意見交流会は、これまでの活動内容を発表し合い、意見を交流することで、見方を広めるとともに考えを深め、互いの今後の活動の方向性を決めていくことがねらいです。1年生は33グループ、2年生は39グループ、3年生は43グループが自分たちの取り組んでいる課題(テーマ)について発表し、質問やアドバイスをし合いました。東北芸術工科大学から柚木泰彦教授、渡部桂教授、粟野武文准教授、竹原万雄准教授の4名の先生方に助言者として参加いただきました。先生方からは、課題を自分事にすることや意見交流の活性化などについてアドバイスをいただきました。今回の意見交流会を踏まえ、2月に予定している成果発表会に向けてさらに探究活動を進めていきます。

2学期のスタートにあたり③(校長より)

2学期のスタートにあたり、”生徒諸君へ伝えたいこと”の3回目です。

始業式では、スケートボードの岡本碧優(みすぐ)選手を海外選手が讃える写真を提示して話をしました。どのような内容なのかについては、次のネットニュースを参照してください。

https://news.yahoo.co.jp/articles/0a97083db715048f9d86d9fa35adf358e9534430

【Twitter】では、「選手の皆さんのチャレンジする姿、励まし合う姿、讃え合う姿眩しかったですね」「海外の選手にこんなに讃えられているのは彼女の挑戦がリスペクトされた証だよね」といったつぶやきが見られました。

元柔道世界女王の山口香さんは、出演したTV番組の中で、このシーンを「新しい風かなと思いました。国とかメダルとか、そういうものを超えてチャレンジすることへのリスペクト。」と称賛されたそうです。https://news.yahoo.co.jp/articles/83325cd3fdae14f03907bc4050439efe2cd88436

私は、平昌五輪スピードスケート女子500mにおいて、小平奈緒選手が世界記録保持者で五輪2連覇の女王・李相花(イ・サンファ)選手との勝負を制したあと、2人が互いの健闘を讃え合う姿をふと思い出しました。https://number.bunshun.jp/articles/-/847045

残念ながら、今回のオリンピック期間中には、選手に対する差別や偏見、誹謗中傷などの記事を目にしました。オリンピックに限らずですが、差別や偏見ではなく、お互いへのリスペクトが溢れる世の中になっていってほしいものです。

2学期のスタートにあたり②(校長より)

2学期のスタートにあたり、”生徒諸君へ伝えたいこと”の2回目です。

今回は、授業等に臨む際に、皆さんに期待する心構えについてです。

東桜学館では、「東桜コンピテンシー」(身に付けたい資質・能力)を11項目定め、教育活動のあらゆる場面でその伸長を図るよう努めています。

その中に、「批判的思考力」と「論理的思考力」があることは、皆さんも知っていることでしょう。2学期には、是非、この2つを特に意識し、授業をはじめとするさまざまな活動に取り組んでほしいと思います。

それでは、東桜学館として定義付けている「批判的思考力」「論理的思考力」をもう一度確認しておきましょう。

「批判的思考力」critical thinking

誰が言ったかに左右されず、事実は事実、意見は意見として区別してそれぞれを評価する力。「なぜか?」という問いを常にもち、様々な角度から客観的に物事を考える力。情報を観察し、分析し、論証し、最終的には自分の意見を提示する一連の思考技術。

「論理的思考力」logical thinking

複数の物事の関係を整理し、根拠を示しながら筋道を立てて考える力。物事の因果関係を整理し順序立てて考える力。また、それをわかりやすく説明する力。

 

端的に言うと、授業の際は、「批判的思考力」を発揮し、常に「なぜ?」と自分自身に問いかけてほしいということです。それは、授業の内容の本質を深く理解するためです。当然、先生に質問する機会が増えてくると思います。

自分は暗記に頼りがちだと感じている人や定期テストはそれなりなのに実力テスト(模擬試験)は・・・と感じている人は特に意識してほしいと思います。

わかりやすい例を挙げると、定期テストの数学では、使う公式や解法がある程度決まっています。ですから、問題を解く際に、用いるべき公式や解法は何か、をあまり意識しなくても問題が解けます。
一方、実力テスト(模擬試験)では、その問いで解決すべき内容をしっかりと理解した上で、それを解決するために最も相応しい解法(公式など)を自分がそれまでに学んできたことの中から見つけ出したり、場合によっては学んできたことを総動員したりして考える必要があります。

つまり、問いを解決する際に大切なのは、解き方を覚えていること以上に、この問いを解決するためにはどのような道筋を辿ればいいのか、あるいは、なぜこの解き方が相応しいのかということなのです。少し難しい言い方をすると、問題の本質は何か、ということです。

それを意識している状態が、私は「批判的思考力」が身に付いている状態だと思います。

これは、何もテストの問題を解くために必要な力だから言っているのではありません。
例えば、課題を解決する際には、5回「なぜ」を繰り返すと解決すべき課題の本質を突き止めることができるとよく言われます。
むしろ、社会に出てから様々な課題を解決しようとする際に「批判的思考力」は活かされるものと思います。

ちなみに、今年の「SSH生徒研究発表会 代表校による全体発表」で発表された長崎県の高校生の発表テーマは「なぜ、落ち葉は裏向きが多いのか?」というものでした。私は、その着眼点の素晴らしさに感銘を受けました。日頃から「なぜ?」という視点で物事を見ていると、自分でもびっくりするような面白い「問い」に巡り合うかもしれませんね。
(この研究は、テーマはシンプルですが、データ分析や実験による仮説検証など科学的な手法を用いたしっかりとした研究であり、SSH以外でも様々な賞を受賞しています。)「なぜ落ち葉は裏向きが多いのか?」 本村さんが文部科学大臣賞(長崎新聞)

また、授業で理解した内容等を、根拠を示しながら、筋道を立てて、他者にわかりやすく説明する力を身に付けることで「論理的思考力」を鍛えてほしいと思います。東桜学館では、様々な場面で探究的に学ぶ機会がありますが、是非、わからないところを教え合うなど、仲間と学び合う機会を自分たちで数多くつくってください。

2学期も失敗を恐れず(失敗したらその失敗から多くのことを学び)、果敢に挑戦し、少しずつ成長していきしょう!

2学期のスタートにあたり①(校長より)

全国的な新型コロナウイルスの感染拡大を受け、17日の始業式は簡素化した形で実施しました。

そこで、2学期のスタートにあたり、生徒諸君へ伝えたいことなどを掲載します。

まず、始業式で皆さんにお願いした2つのことを確認します。

・自他ともに「生命」と「人権」を大切にしてください。

・安全・安心な学校生活に引き続きご協力をお願いします。

何か心配なことがあったら、いつでも先生方に相談してください。

幸い、夏休み中に大きな事故などの報告はありませんでしたが、まだ、暫くの間は、新型コロナウイルス感染症への対応や熱中症の予防などをはじめ、さまざまなことを皆さんにお願いする日々が続くかと思います。みんなで協力し合いながら心身ともに健康に学校生活を送り、充実した2学期にしていきましょう。

 

東京大学主催「第1回 知の協創 実践学講座」の取組が山形新聞に掲載されました

東京大学 高大接続研究開発センター 主催「第1回 知の協創 実践学講座『物理を学ぶ,物理を作る~高校物理から宇宙研究の最先端へ~』」の取組(8月7日HP掲載済)を、8月17日の山形新聞で取り上げていただきました。

 

【放送部】全国高校総合文化祭和歌山大会に出場しました

8月4日(水)・5日(金)に第45回全国高等学校総合文化祭和歌山大会放送部門が、和歌山県かつらぎ町のかつらぎ総合文化会館「あじさいホール」で開催されました。
会場となったかつらぎ町は、高野山の麓にあり、中央に紀の川が流れ、蜜柑と柿の名産地という、歴史と自然が豊かな人口1万7000人の町です。

本校からは朗読部門に、昨年度の県新人大会で1位となった、大類ひばりさん(3年5組)が山形県代表として出場し、本校校歌の作詞者でもある小川糸さんの小説『喋々喃々』の一節を朗読しました。
大類さんは、繊細ながらも安定したいつも通りの読みを披露し、結果は入賞を逃したものの、審査員から高評価を受けました。全国の舞台に立ち、堂々と発表できたということは、とても貴重な体験になったことと思います。部活動はこれで引退となりますが(長く大変だったと思いますが、お疲れ様でした)、この経験を次の人生に活かしてください。
また、次に続く1・2年生も、今年度の3年生に負けないように、東北そして全国へとコマを進める部員が続くことを期待します。

新型コロナウィルス感染症が全国的に拡大している中、往復の航空便や宿舎・会場等では感染対策を徹底して参加してきました。この大会も、極力参加者を抑えながら、なんとか開催することができ、和歌山県の事務局も実行案の検討段階から試行錯誤を重ねるなど、御苦労をされたことだと思います。(さらに連日最高気温が38度以上だったので、熱中症対策も大変だったと思います)。この大会に関わったすべての方に、この場をお借りして感謝申し上げます。

写真は上から大類ひばりさん(会場前、発表の様子)、放送部門会場、最寄り駅のJR和歌山線妙寺駅